《MUMEI》 中沢はボンネットを開け覗き込みだした。 俺もつられて覗き込むと、影が出来て暗くなるからくるなって言われてしまった。 俺は小規模ながらも地元の族の総長やっててそれは中沢もきっと知っている筈なのに。 なぜか全くものおじしない堂々とした態度。 しかしそれに何故か腹がたたない俺がいる。 中沢は何故かケツポケットから小さなレンチを出し、中の一点を弄った。 「ありがとうな、助かったよ」 コンビニの中に行っていた春馬が戻ってきた。中沢はボンネットをバタリと閉めた。 「煙草マルボロでいーんだな?」 「うん」 春馬は中沢に煙草を二つ渡した。 中沢は遠慮なくと言いながら受け取った。 「ちょっと回転あげといたから、ちょっと低い設定だったせいで止まりやすかったんだ」 「え?そうなんだ」 「もう止まんないと思う、でも心配だったら修理屋に見せてな」 そう言うと中沢は事もなげに立ち去った。 着古したスエットにペッタンサンダル。 この辺に住んでるんだろうか? 「えーちゃんイイクラスメイトもってんじゃん」 春馬は嬉しそうに運転席に乗り込んだ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |