《MUMEI》 ▽ 怖かった。 何が怖いって、中沢が俺を嫌なものでも見る目で見てきて、それを俺が見てしまうのが怖かった。 「…付き合う」 「えっ?」 びっくりして、恐る恐る目線を合わせると、中沢はあの事もなげな表情で俺を見ていた。 「べつに好きな奴いないし、付き合うよ」 玉砕するために告ったのに、中沢は付き合うと言ってきた。 確かに 「中沢が好きだ、俺と付き合って欲しい」 って言ったけど。 俺はもうびっくりして、ただびっくりして。 春馬がふざけて用意した、どうせ春馬と行く事になるだろうと思っていた映画の前売券を中沢に見せた。 「…これ前から見たくて買ってたんだけど」 なんて言ってみたりして。 「あー、俺もちょっと気になってたから行くよ」 ――もう、嬉しくて。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |