《MUMEI》 7月17日目が覚めると、鴒が俺の上で眠っていた。 つまり、昨夜の出来事は夢では無かったということだ。 思い出したら恥ずかしくなってきた…。 今すぐに部屋に戻って落ち着きたかったが、ぐっすり眠っている鴒を起こすわけにはいかなかったので起きるまで待つことにした。 違うことを考えて落ち着こうとしても、鴒のことに行ってしまう。 …鴒の体ってこんなに柔らかかったっけ? 今までもこんな状況はあったはずなのに、意識し始めると止まらない。 …いかん、つい状況に飲まれそうになった。 心を無にしよう。 ……………。 結局、鴒は昼過ぎまで起きなかった。 翼は十時頃に起きたが、 「けっ… リア充が…」 と少女らしからぬセリフを残して自室に籠ったようだ。 そろそろ起こそうか。 などと思い始めた頃に 「ん…」 やっと目を覚ました。 軽く背伸びをしてから、俺を見つめる。 「…もしかして、僕が起きるまでずっと添い寝してくれてたの?」 改めて言われると恥ずかしくなってくる。 「…そうだよ」 「ふふ…嬉しいな」 朝から満面の笑顔を浮かべる鴒。 「そのお陰で朝から何も食ってないんだがな… 今からなんか作るけど、食ってくか?」 「お願いしていいかな? だけどその前に…」 「どうした?」 「体、拭いてくれない? 結構汗かいちゃってさ」 照れたように笑う。 これ以上俺の煩悩を刺激しないで下さい…。 鴒の体は翼が拭いた。 全く、鴒は可愛い癖に警戒心が薄くて困る。 それだけ信頼されている、ということかもしれないけれど。 「…この前も言ったけど、僕明日からいないから」 そういえばそうだった。 「楽しんでこいよ」 「うん それでなんだけど… 夜とか、電話してもいい?」 わざわざ訊かなくてもいいだろうに…。 「常識的な時間ならな」 「わかってるよ〜 じゃあ、しばらく逢えないけど また、ね」 「おう、またな」 …と、言っても俺はその後にいつも通り鴒を家まで送ったのだが。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |