《MUMEI》
最悪のしきたり
「う………、うそ………」






私の憧れの来駕様が……






優しくて紳士……ではなく、冷たくて乱暴だったなんて……








来駕様が……







「さあ結婚しよう」と言ってくれると思っていたのに




「するかよ!!!」こんな鬼みたいな……







17年12ヶ月2日、憧れ続けた来駕様が………








嗚呼……





娑亜紗が、ガックリと床にひざをついた。






「……俺、帰るわ」






「ムリよ……」





娑亜紗がまた振袖の中からまきものを出して来駕に渡した。






「?」





『設楽家の嫡出子は、婚礼前の一週間




婚礼の相手と当家の離れで、生活すべし。その間、一切の外界との接触を禁ず。』








「つまり私達、結婚式までここから出られないのよ……」







来駕が外への門をみた……が、完全にピッチリとしまっている。







「ふ……、ふざけんな――――ッッ そんなのつきあってられるかァァ―――!!!」






来駕が大声でわめきちらした。








「大声出さないでよっ わめきたいのはこっちよ―――!!!」

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