《MUMEI》
覚醒の朝ー
 高校三年生の春ーー
 受験生のseason……。

「俺は…俺はもお限界だーーッ」

 AM6:00を回った頃。目の周りにクマをびっちりと着けた俺、柳瀬拓真が登り始めた朝日に砲口をあげる。

「コルァッ! 拓真、うるさいわ! 何時やと思ってるんよ!」

 下の階から母、紀美子の声が響く。
 母子家庭で、紀美子は年を感じさせない美貌をもつ。俺も母親似で、自分で言うのもなんだが、イケメンってか!キラッ

 そんな俺はイケメンな顔を歪ませ頭を抱えていた。

「俺は……変わるんだ! こんな勉強漬けの生活イヤだ!」

 自分で言うのもなんだが、知能はもはや底辺へとつく勢い。

(やべぇ、マジでやべぇ……クソッ、いいのか!? 今のままで? ……いや、いいわけない!)

「いいわけないんだーーッ!」

「うるせぇゴルァ! なんべん言わすんよ!」

「サーセン……ハァ」

 こうやって俺の朝は始まった。
 イケメンが変態へと成り下がった朝が……。

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