《MUMEI》
噂のあの子
 金髪の腰まであるストレートの長髪。周りを魅了する端正な顔。その瞳は美しい翡翠色。紅の唇、雪のような白い肌の頬の部分は桃色に染まっている。

 高校三年生、千久野リズ。
 フランスと日本のハーフで、今年日本へやってきた帰国子女と言うヤツだ。

 スタイルも良く、豊満な胸、長く細い足……。そして高い位置で結ったツインテールがカツカツと歩く度に、胸と連動して揺れる。

 日本語もうまく……それどころか、学年首位という頭脳の高さ。
『才色兼備』があてはまる完ぺきな女性。

 リズが歩く場所はいつも開けられていーーなかった。

 いつも開いているはずの門から下駄箱までの道のりに、なにか、変なものが地面にへばりついていた。

 歩み寄るとそれは人間らしく、ただ、燃え尽きた感じで真っ白な灰になっていた。

 カツカツ……ゲシッ

「道を開けなさい、気持ち悪い底辺やろうが!」

 踵でその手を躊躇なく踏みにじる。

 グリグリ

「ッァアーー」

 壮絶な痛みが走り、思わす反対の手で、リズの足首を持つ。

「ぁッ! こら、離しなさいよ!!」

 四方八方に振り回すが、「イヤだイヤだぁ〜」と駄々をこね、一向に離す気配がない。

 リズはあることに気づいたーー。
 少年の鼻の下がやらしく伸び、目尻が下がっていることに!?

 瞬間、リズのこめかみがピキリとイヤな音をたてる。

 少年の顔面めがけて強烈なキックが炸裂した。2m先まで飛ばされ、脳がクラッシュする。

 始業のチャイムが鳴り響く。
 少年ーー柳瀬拓真は、素通りを決め込まれ、変態へのスタートをきったのだった。

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