《MUMEI》

「中学の時、神林先輩を追いかけていたのも知ってたよ、俺がその立花を好きだったのは知らなかった?」

「今っ……坂巻っキキ……!」

ショートしてしまった。

「ひっでえヘンガオ。可愛い顔が台なし……俺のが立花のこと見てたんだから、説得力あるでしょう?」

……なんてな、信用されてないし靡かないだろうけど口説いてみた。

「俺……っ、用事思い出した!」

あーあ、逃げられてしまった。こんな後でも何事も無かったかのように振る舞えば立花の性格上、普段通りに接してしまうのだろう。

「おはよう。今日先輩は?」

昨日の告白を水に流して満面の笑みで近づく。

「坂巻っ……!
せ、先輩は仕事で沖縄。」

俺のことを意識している、一応は伝わったのか。警戒はしていた、距離を保ちながら話しているが変わらない対応だ。

「沖縄?すげー……。」

しめた、二人で居られるチャンスじゃないか。さりげなく、肩を抱こうとするが擦り抜けられた。

「あっ……!ちょっとトイレ」

逃げたってトイレまで付いて行くのに、甘いな。

「写メ?」

鏡に向かってシャッターを切る所で話し掛けてみる。

「わあっ……びっくりした。これはっ……先輩が。」

出掛けたのって昨日とか一昨日の話だよな?それで写メ要求って、神林先輩って束縛癖あるのか?


「立花って告白する気あるの?」

「へ?」

「だって、そのかんじだとキスは知らないけどセックスもしてないでしょう。」

それはそれは衝撃的だったようで、数秒の間が空いた。

「先輩立派だからなあ……めちゃくちゃ痛いらしいよ。知ってる?それで破局することもあるんだって、ちゃんとした失敗しないやり方知りたくない?」

固まる立花をよそに、付け足したが詐欺師やキャッチの気持ちになる。
深刻な面持ちで頷かれた時には先輩が写メを要求した信用の無さにも納得せざるをえなかった。
ちょろいよ、立花……

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