《MUMEI》
仕事だ
 警察官・消防士・自衛隊・SPなど人を護ったり、助けたりする仕事はたくさんある。その中でも、天・地・海の力を駆使し人々を護るものを人は、『護り人』と呼ぶ。

 「なんか、いい仕事無いかなあ。なあ、フエ。」
 足を机の上に乗せて、だらけた姿の男が言った。
 「そういうのはワシントンに聞いてください。」
 優しそうな青年が半分呆れ気味でめんどうくさそうに答えた。
 「仕事ならいいのがあるぞ。」
 ほかの人にみられないように、わざとらしく積まれた本の中から低いしゃがれ声で男は言い、パソコンの画面を見せた。
 「ロディアからレストラまでの間、護衛してほしいそうだ。報酬は一億イリー。どうだ、いいしごとだろう。」
 「一億か、なら一人で十分だろう。フエ行ってくれ。」
 だらけた男が言った。
 「わかりました。行きましょう。」
 「いつになくやる気ねえ。なんかあった?」
 お茶を出しながら、フエの横から髪の長いきれいな女性が言った。
 「別に…」と言いながらフエは立ち上がり、部屋から出る直前、振り返りざまに「風が…俺を呼んでいるだけさ。」
 と、キザなセリフを言って部屋を後にした。
 「なんだアイツ。」
 一同唖然。

 さて、ところ変わってここはタツノオトシゴ大陸南東に位置するロディア。この世界には五つの大陸があり、それぞれウサギ・タツノオトシゴ・ペンギン・ヒト・カイに似た形をしている。
 そして、いまここロディアでは、依頼の説明が行われている。真っ白な何もない部屋にホワイトボードが一つあるだけところで、ホワイトボードと向かい合う形に十数人が並べられている。その向って右端にフエはいた。
 ホワイトボードの前に大柄の男が一人立ち、ゴホンと大きなせき払いをした。
 「早速だが、任務内容の説明に入る。おっとその前に、お互い何も知らないだろうから自己紹介から始めたほうがいいか。では、わたしから今回護衛チームのリーダーを務め させていただくベンジャミン・フランクレイだ。よろしく頼む。」
 それから、次々に自己紹介をしていき、フエの番になった。
 「フェラリーノ・カトリックスです。よろしくお願いします。」 
 めんどうくさそうに中途半端な声で言った。
 
 
 
 
 
 



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