《MUMEI》 指「そう?ならいいんだけど」 「…っ、…ぅ……」 陽菜が苦しそうに口を動かす。 「もう…、裏切るようなことしないから……佐野さんにも、ちゃんと…言うから…」 こんなに裏切られたあとで『裏切らない』なんて言葉を、信用できる人間がいるんだろうか……。 「いいよ、そういうのは」 陽菜が怪訝な表情で、僕を見た。 「今更佐野さんに、なんて説明するの?陽菜が僕で遊ぶ為に利用しただけだって言うの?安易な気持ちで処女捧げるなんて馬鹿ね、とでも言う?」 困ったような表情で、陽菜が俯く。 「陽菜にはわかんないのかな…初めて誰かと体を重ねるときの気持ちが」 俯いたままでも、陽菜が僕に対して反抗的な気持ちを向けたのが、わかった。 でも、そんな感情を僕に向けても当惑の表情を浮かべても、陽菜の体内は快楽を求めるように、動きを止めた僕の指を切なそうに舐め回す。 「自分だって初めてのときは嫌な思いしたのに、どうして佐野さんの気持ちがわからないの?自分じゃなければ嫌な思いさせても構わないってこと?」 「ち…っ…!?うぁああぁあッッ!!」 “違う” 陽菜がそう言う前に僕は、陽菜の肉壁を抉るように刺激した。 「違うって言ったらダメだって言ったでしょ?」 「…ひ…っ……ぅ…」 「佐野さんには僕から説明しておくよ、真鍋にも僕がちゃんと話してあげる」 陽菜の瞳に涙が溢れた。 「会いたいんでしょ?真鍋に…。真鍋がちゃんと陽菜を愛せるように僕から話してあげる」 「ゃ…やだっ」 咄嗟に出てしまったんだろう。 今さっき怒られたばかりなのに、陽菜は僕の腕を掴んで懇願するような眼差しを向けた。 「陽菜は本当に体でわからせないとダメな子だね」 陽菜の顔が、どんどん青ざめていく。 僕は陽菜の体内から指を引き抜いて、その指を陽菜の口元に持っていった。 戸惑った表情を一瞬浮かべたかと思うと、陽菜は自分の口内に愛液で濡れた僕の指を受け入れ、丁寧に舐め始めた。 前へ |次へ |
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