《MUMEI》

「肌は好きな人にしか見せ合えないから……!」

「それって間接的に俺がフラれてるよね?」

「あっ……ごめんね。」

無意識に坂巻を傷付けてしまった。

「いや、先輩カッコイイからね。」

「そう、横顔!凄く魅力的だよね!
俺は先輩の隣で横顔を覗くと幸せだな〜……って!」

つい先輩への想いが溢れてしまった。

「少し黙って!」

苛立った坂巻に怒鳴られてしまった。
坂巻が俺をベッドの上に仰向けに倒して、その強い衝撃で壁に頭を打つ。

「あたっ……」

こんなに乱暴な坂巻は知らなかった、急に怖くなる。熱い息が俺の首に当たって助長した。

「お前が、先輩先輩言うから……っ」

ぽたぽたと水滴が落ちてきた、泣いている……?

「ごめんね坂巻。」

泣いたら、俺は頭を撫でてもらうと嬉しいから、坂巻にも同じにした。


先輩に会いたい……。

「立花ァ……」

坂巻の腕に力が入り、俺の上着を脱がせてきた。

「やっ……待って待って!」

「無理。んっ……」

酷い、他の体温が皮膚に這う感触に嫌悪感が出た。俺は潔癖症なのかもしれない。
そもそも脇なんてとこ舐められたことないのに……!いや……、兄ちゃんは舐めていたな。

でも、なんか坂巻の舐め方は飛んだりぶれてて、異物の感触不快で堪らない。
いつの間にかその場にあった目覚まし時計で坂巻の後頭部を殴りつけていた。

「うわあ!ごめん坂巻!」

「ってぇ……、身体は正直だな。」

血は流れていないけど絶対打撲傷にはなっただろう。

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