《MUMEI》 夢『母様、母様またおでかけするの?』 『そうよ、お仕事なの。お留守番よろしくね』 父様と母様はなかよし。 『行くぞ』 『はいあなた』 いつもふたり。 さあしゃはひとり。 だけど、さあしゃだっておとなになれば きっと『らいがさま』が、ずっとそばにいてくれる―――…… 「そんな奴いねーよ」 誰!? ハッ ここで娑亜紗は目が覚めた。 がばっと起き上がる。 ずっと夢みていたの 当たり前なように誰かといる日常。 よく見るとふとんをかぶっていた。 そしてちらりと横をむくと来駕が寝ていた。 それを見て娑亜紗は胸のあたりがきゅ――っとなった。 毎日その人と一緒にいて、毎日その人のこと考えて。 ……誰かに愛されたかったの。 誰かを愛したかったの…… 前へ |次へ |
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