《MUMEI》

「もう、……9月8日」




「今日の夕方までには抜け道を見つけないと……」





娑亜紗は池のほとりに座りながら考えた。






――――――もし




見つからなかったら?






明日には私、あの人と―――……






『ちゃんと恋愛した相手と結婚するから幸せになれるんじゃないの?』







ちゃんと恋愛……





娑亜紗は来駕の写真がのったアルバムを見つめた。





するとビュオッっと風が吹いて池にアルバムがボチャンとはまってしまった。






写真が……!!








ザバ……ッ!!





娑亜紗が池に飛び込んで手探りでアルバムを探し始めた。





するとちょうどそこに来駕が通りかかった。






「なっ!なにしてんだよ!?」






「ア……、アルバムを落としただけ、このへんに……」







娑亜紗がつぶやくとぐいっと来駕に腕をひっぱられた。





「!?」




「ちょ……っ、やめてよっ大丈夫だから!!写真が……っ」






すると来駕が怒鳴った。





「どーでもいいだろそんなもん!!」






「……っ、よくない……っ!!」

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