《MUMEI》 ハイヤー「ぷはぁっ」 「マジで抜けれたな……」 来駕が肩をポキポキならしながら言った。 「せっ、狭かった――っっ」 細くて狭い道を通って歩いていくと 本当に設楽家の離れから出ることができた。 「つーか何で浴衣?」 「離れにはコレしかなかったのよ。着物よりマシでしょ?」 娑亜紗はあれから浴衣に着替えて髪の毛を束ねてからきた。 「なんだかわくわくするわ―――っっ、しきたり破ったことなんてないものっ」 娑亜紗はまきものを見ながら言った。 「お気楽でいーなお前は!!」 「つーか、ここからどーやって帰ればいいんだ? 来た時は縛られて車に乗せられたからさっぱりわからん……」 「あっ」 娑亜紗が何かに気づいた。 「ハイヤー」 娑亜紗がしゅばっと道路に出てハイヤーを呼び止めた。 「!!?」 来駕はワケがわからず混乱している。 「ちょっ、待……、ハイヤーって予約いるんじゃ……」 けどハイヤーの運転手さんに設楽家のお嬢様だと言ったら すんなりと乗せてくれた。 来駕は「マジで!?」と言って驚いていた。 前へ |次へ |
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