《MUMEI》
同じ
「で……、でもっ、それならあなただって」





来駕だって明日誕生日なのに……





「いーよ別に、はぐれたら困るから買っただけだし」





お店を出る。





携帯を見ると来駕のメールアドレスが入っていた。






『「もしもし、もしもーしっ」』





娑亜紗はさっそく来駕に電話をした。






『「聞こえる? なにかしゃべりなさーいっ」』






『「近いのにかけんなって!! 直の声のがデカいっつの」』





すると娑亜紗は小声で来駕の電話の中にだけ聞こえるように






『ありなとう』





とお礼を言って照れくさそうに





『明日お誕生日おめでとう』





と言った。









同じ時刻に生まれた人。







娑亜紗は携帯をパタンと閉めて





「さーっ、行くわよ!! おもしろい所はどこ!?」






と、すったすったと歩いていった。






あ――っ、私がこの人にこんなこと言うなんて!





でもでもお礼は言わなきゃダメよねっ







私どうしたの?




この人のこと嫌だったのに




こうしてついてきたり




この人と同じことをうれしいって思うなんて

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