《MUMEI》
写真
娑亜紗は「うんっ、きっとそうよ」と一人で納得して



「花火全然見てなかったわ」と焦った。





ふいに娑亜紗が「ねぇねぇっ」と声をかけてきた。




来駕は、はっとわれに返った。




「この携帯、写真もとれるんでしょう?どうやるの!?」





「え、ああ」




「ここ押してこう……」




来駕が説明をしていると




花火がやんでしまった。





「あ――――っっ、花火終わっちゃったわ――――っ!!」





娑亜紗が泣きながら叫んだ。




「多分休憩だからまた始まるって」




「〜〜〜〜〜」




「!!」




そうだわっ




娑亜紗が何かいいことを思いついた。




「えいっ」




娑亜紗はカシャッと来駕と二人の写真を撮った。





「なに撮ってんだお前は――――!!?」





来駕が怒鳴った。





「だって記念にっ、それにもうあなたの写真ないしっ」





「知るか!!」





娑亜紗はソレを無視して




「そっちにも送るわねっ、どうやるの!?」




とウキウキしながら言った。




「……」





だってほしかったの





『来駕様』じゃなくて



来駕と一緒にうつる写真が――――……

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