《MUMEI》 教室に行こうと思ったら、もうとっく授業が始まっていた。 「悠太君、何故そんなに遅れたんだね?」 「保健室に行っていました。」 「そうかい。じゃあ席に座りなさい。事情は内田先生に聞いておくから。」 あぁ、もういちいちめんどくさいな、先生ってのは。 「アイツ、バカだよな。ハハハ…!!」 「おうよ、あれだけのケガで保健室行くとかバカっすね!直輝様!!ハハハハ…!!自業自得っすね!!」 そんな会話が聞こえた。 もうやってらんないな。 パチンッ、パチンッ 誰かが誰かをたたく音が聞こえた。 誰だよ、今頃。 と思ってみると、麗菜だ。 「何言ってるの!?自業自得って言ったよね?おかしいんじゃないの!?暴力振るったのはそっちでしょ!?私全部言ってるんだよ?先生に言いふらしてあげようか!!」 麗菜の怒りに震えた怒鳴り声が聞こえた。 麗菜がそんな事を言うなんて、正直ビックリした。 「…しかも、直輝君達、何回も何回もこういうことやっては人のこと見て笑ってるでしょ?それ虐めだよ?」 麗菜がまだ怒鳴っていた。 もう僕は唖然。 周りも同様、唖然。 直輝は麗菜を半泣きで睨んでいた。 こんなことで半泣きってな。バカだ、バカ。 「こらこら、武田さん。やめなさい。先生もその話を聞いているから。」 「あっ、つい…。ごめんなさい。」 麗菜は直角に腰を曲げて直輝に謝った。 「…覚えとけよ…。」 直輝は確かにそう呟いていた。 麗菜になんかしたら、僕がただじゃおかないからな。 前へ |次へ |
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