《MUMEI》
7月18日
… … ガチャ
「…はい、もしもし?」
「俺だ、中村だ」
「……何か用?」
素っ気ないヤツめ。
「暇だからゲーセンでも行こうかと思ってな」
「ふーん…
行ってらっしゃい」
…お前はなんのために電話がかかって来たと思ってるんだ。
「いや、梢も行かないかなって」
「…どうしてもって言うなら、付き合わないこともない」
素直じゃないヤツめ。
「はいはい、ヨロシクオネガイシマスー」
「…心がこもっていない」
受話器の向こうでムッとしている様子がよくわかるが、
「じゃ、迎えに来て
…待ってるから」
と了解してくれた。

部屋でパソコンに向かっている翼に声を掛けてから家を出た。
目指すは永江家。
今回は迷いたく無いな…。

特にトラブルも無く永江家につくと、玄関前の階段に座って梢が待っていた。
「…遅いよ」
第一声がそれかよ…。
「結構遠いんだよ」
「…ふーん、オツカレサマー」
「心がこもってねぇ」

「じゃあ行くか」
「うん」
「自転車、持ってるか?」
「持って無いよ
というか、乗れない」
今時珍しい。
…仕方無いな。
「後ろに乗るか?」
荷台を示してやる。
「…いいの?」
「いいよ」
「じゃあ、遠慮しないわ」
宣言通り荷台に座る梢。
調子いいなぁ…。
「しっかり掴まってろよ」

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