《MUMEI》 世話係ヘリから家の世話係たちがぞくぞくと降りてきた。 「娑亜紗お嬢様。速やかに本家へお戻りください」 娑亜紗の世話係の一人が口を開いた。 「な……、何なんだよこいつら」 来駕は娑亜紗の前に立って後ずさりした。 「私の世話係たちよ」 「世話係!?」 「わっ、私は帰らないわよ!!ほっといてちょうだ……」 娑亜紗が言い終わらないうちに 世話係の一人が縄を娑亜紗めがけてなげてきた。 「え」 娑亜紗は、その縄につかまれて「あ――れ――」とひっぱられてしまった。 後ろではほかの世話係たちが パチパチと拍手をしている。 その一方で来駕は 「ウソォ!!?何その手荒な扱いっ」 とビックリしていた。 「では、これで」 世話係の一人がペコリと頭をさげた。 「ちょっ、ちょっと待てよっ、帰らないって言ってんだろ……!!」 「来駕……」 来駕が叫ぶと世話係が 「……勘違いしておられるようですが、しきたりを破った以上 あなたにはもう、娑亜紗様の夫となる資格はありません」 「娑亜紗様は明日、別の方とご結婚なされるのです」 と冷たい目で言った。 なんですって――――――!!? 「イヤよっ、絶対イヤ―――!!」 娑亜紗はピョンコピョンコと跳ねて逃げようとした。 「しきたりですから。拒めば勘当です」 ……!! 「そんな……」 その時、娑亜紗に眠気が襲ってきた。 前へ |次へ |
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