《MUMEI》
新ダンナ
「あなたと1〜24時間違いに生まれた方々よっ




同時刻の人とうまくいかなかった場合はこの中から選ぶことになってるの」





「ウム」





母がまきものを見ながら言った。





設楽家の人はみんな同じしきたりのまきものを持っている。





「ええぇ」





同じ日に生まれた男の人達は





「娑亜紗さん、僕と結婚を」



「いや、俺とっ」





などと言っている。





「あらあら、娑亜紗ちゃんモテモテねー……」





娑亜紗がパシンとふすまを閉めた。




すると母の顔が一変して




「ひょっとして全員気に入らないって言うの?」




と娑亜紗を睨みつけた。





娑亜紗も負けじと睨みかえす。




「ええまあ!!今会ったばかりの人と結婚なんてできませんっ」





「何を言うの、あなた今まで結婚を望んでいたでしょう」





「そうだけどっ、何なのあの人達!! 来駕はあんな風にデレデレしなかったし




下心見え見えじゃなかったわ!!それに来駕は」





娑亜紗が続きを言おうとすると




その言葉を母がさえぎった。




「娑亜紗、その方はもうあなたとは関係ないでしょう」






そんなことわかってる




でも……



でも―――……




「娑亜紗!!」




娑亜紗はだっと走りだした。








来駕は私と結婚しないと言った。






母から隠れていると世話係の菫が来た。





「……、娑亜紗様奥様がお捜しに」





「菫」



娑亜紗はいったん言葉を切って、菫に聞いた。





「私と別れる時、来駕はどんな顔をしてた?




………平気そうだった……?」








私にこんな顔させて




あなたは今、どんな顔をしてるの……?

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫