《MUMEI》

優しい風が頬に当たる。

あたし、藤木 命(フジキ メイ)は中庭のベンチでランチタイム。

「早く食べないと、午後の授業遅れるよ。ほら、詰め込んで」

隣で急かしてるのは、私の親友。

名前は、角川 帆詩(カドカワ ホシ)ちゃん。

「も、もぉ…食べれない」

「じゃぁ、あたし貰うから」

「どーぞ…」

「ホンット、小食よね」

「だって…」

こんな調子で、小食の私をサポートしてくれます。

「帆詩ちゃん、そろそろ行かないと…次、数学だよ?」

「わ! ホントだ、どーするよ。 今行ったら、火の車だよ」

んー、どうしよ。

サボっちゃう…?

でもなぁ…。

「なぁ、どっか行かねぇ?」

「ほぇ? 私?」

「お前だよ、お前。

 他に誰がいんだよ」

え?

帆詩ちゃん…ってえぇ〜? 

帆詩ちゃん、行っちゃったの〜?

それより…

真っ黒でサラサラな髪の毛、

二重のパッチリな目、

筋の通った鼻、

桜色のふんわりした唇…

「わぁ…カッコいい」

「は?」

「あ、いえ…ところであなたは?」

「俺は、水河 夢人(ミズカワ ユメト)。

 夢人って呼んで」

「は、はぁ…」

水河、夢人…。

聞いたことある名前、だなぁ。

あったことあるっけ??

記憶を探る。

見つけた、夢人。 

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