《MUMEI》 記憶の断片―あたしが、中学2年生の時… 夢人は中学3年生。 あたしも夢人も、病気だった。 あたしたちは同じ病院の同じ病室で、治療してた。 『俺、あと3年、なんだ。』 『そーなの? 私もだよ』 『仲間、だな』 『うん、一緒に遠いところに行こう』 あたしたちは、言った。 『約束』 約束をして、もう中学生だというのに、小さな子供みたいに 無邪気に笑う。 2人で笑って、時には…泣いた。 『この世から消えるのが、怖い』 『なんで?』 『だって、あたしには…いないもん。 悲しんでくれる人が』 『いーじゃん、別に。 俺と一緒、なんだからな』 『彼氏、みたい』 『ふっ、ちげぇよ』 『えーちがうのー?』 そう笑い合っていた、ふたつの命は、3年後に、消える。 あの時あたしはもう、夢人に恋、してたのかもしれない。 前へ |次へ |
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