《MUMEI》
旅行
「それで、何しにきたの?」

「これこれ」

夢人は、何かのパンフレットを指さして言う。

「恋人賞で、1年旅行…?」

「そっ。

 俺と命で恋人賞狙おうぜ。」

「それで、死ぬまでの1年間、旅行先で過ごそうっての?」

「いい考えだろ」

「まぁね、たまにはいいこと言うじゃん」

「ってことで今日から、命の彼氏は俺。

 俺の彼女は、命っつぅことでいいな?」

「いいともー!」

「じゃぁ、準備してこい。

 駆け落ちスタートまで30分。」

「ふふ、オッケー」

学校から家まで15分。

家について大きいバッグに、服を詰め込む。

密かに貯金していた、37万306円も貯金箱ごと突っ込む。

15分経過。

「終わったよ」

「スタート!」

あたしたちは、駆け落ちした。

もうすぐ死ぬから、旅行先で無理心中しようとしてるわけでもない。

ただ、楽しく過ごしたいだけ。

それだけ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫