《MUMEI》
誕生日
「ハッピバースデー来駕っ」




こいつは俺のこと何も知らねぇくせに



話しかけてくる奴。




そんな奴はほかにも数人いる。




「よかった、今日は来た―――、ずっと連絡取れないから心配してたんだよぉ




ハイこれ、プレゼント」






「いらね」




そうか、今日俺誕生日か……




「………っ、来駕のバカァ――――!!!」






「お―――っ、来駕来てんじゃん!!」





こっちは是永 学(これながまなぶ)。




いつも変な絵の描いた服を着ていて、髪型はアフロだ。





「超久しぶりじゃね!?何してたんだよ――――っ」






「明日とか遊ぼうぜ」


「アホ、明日も補習だっつの」



「あちーよー、なんで夏休みにガッコ来なきゃなんねーの」


「このままプールいかね!?」



「こないだショップの店員の人に超かっけー人がいてー」


「まじ、どこー」


「それが、ちょ、きーてよ」


「うそー」





みんなわいわいがやがや好き勝手に騒いでいる。







「………こんなんだよな、フツーの高校生活って…」





来駕がぼそっと呟いた。











望んでいたこと






「娑亜紗どこにいたの、早くしないと式が……」





「父様母様」




華やかな花嫁衣装



未来を約束する儀式。




「今までお世話になりました」





18歳の誕生日。





「誕生日に来るなんて計画的じゃん」




隣の席に座っている女子生徒が言った。




「くだらねぇよ誕生日とか」




「はァ?アンタ、自分の生まれた日でしょ」




「……」






親と同じしきたりで結婚する。




望んでいたけれど






「―――何月何日のいつ生まれたとか、親のしきたりとか、どーでもいい」






娑亜紗が、束ねていた髪をほどいた。




「私、家を出ます」







それよりも






「娑亜紗!!」





娑亜紗はだっと走り出した。







幸せってどういうことか知ってる。






来駕が、ガタンと席を立って走り出す。





「鷹塔!?どこいくんだおまえーっ」





後ろでセンセーの声がする。




「来駕―――!!?」




学の声もした。



けど来駕は走っていった――――……

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