《MUMEI》
両想い
『―――だから行くわ』




この言葉と共に花火大会の時と同じように




空からバラバラバラと飛行機が飛んできた。





「え……」



次の瞬間飛行機から娑亜紗が携帯を耳に当てながらとび降りてきた。




「どわ――――!!?」





ドカッ





「うわー」



周りがどよどよと騒ぎ出す。




「お……、お前なっ、死ぬっつーの…」





「来駕」




娑亜紗が顔を上げた。




その顔は耳まで真っ赤に染まっていた。




「私、家とかしきたりとか関係なくあなたのそばにいるわ」




その顔を来駕も目を大きくして見つめかえした。




「嫌だって言ってもいるわ、いるったらいるわっ、聞いてる!?」




来駕がにっこりと微笑む。




「あっそう」




「あっそう!?」




「好きにすれば?」




来駕は娑亜紗をぐいっとこっちに引き寄せた。




「俺もそーしよーと思ってたし」




と言って来駕は娑亜紗の唇にキスをした。




数秒間したあと



来駕はゆっくり娑亜紗から唇を離した。




娑亜紗のおでこに自分のおでこをコツンとぶつけて




「……次は目、とじろよ」




と甘い声でささやいた。





すると娑亜紗の顔がぼっと赤くなって




「……え、え!?つ、次もあるの!?」




と慌てながら嬉しそうに聞いた。



「えっ、ていうか俺もそーするってどーゆうイミ!?」









理屈じゃなくて




しきたりだからじゃなくて




心が求めるから。





私、恋をしたの




きっと一生続く私の初恋―――……

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