《MUMEI》

見るに無様なソレに、五月雨が向けるのは蔑みの眼
「……猫。貴方は何故、私達の邪魔をするの?」
「話を聞く気のない馬鹿に親切丁寧に説明してやるつもりはない」
その言葉通り
それ以上の会話をする気が無いのか、五月雨の全身の毛が逆立ち
ソレに呼応するかの様に文様が鈍く光る事を始めた
その直後
「……私、は逝く訳にはいかない。あの子に、会うまでは!」
相手が瞬間に姿を消し、そしてすぐに乾の背後へ
其の事に気付いた時には既に遅く
あいての脚元から湧きだしてきた影が乾を捕らえていた
「……貴方達の繋がりを、断てばいいよ」
口元がニヤリと嫌な弧を描き
影達は更に乾を覆い尽くそうと蠢いていた
「悟!!」
「標糸は、貰って行くわ。猫」
五月雨が動いたのとほぼ同時
乾の意識は完璧に影に覆われ、そのまま堕ちて行くばかりだった……

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