《MUMEI》
元カノを引き摺る後輩と彼を好きな先輩
『せんぱ〜〜いぃ』

内心またか、と思ったが顔には出さず、いつもの様に優しいセンパイの振りをする。

俺の腕にすがり付き泣きそうな顔(いや、すでに涙目)で見上げるコイツは、二個したの可愛い後輩。


『どうした?』

どうせ元カノ絡みだろうと思いながら、今時珍しく加工してない、サラサラストレートの黒髪を撫でてやる。


コイツが最愛の彼女に、振られたのは、もう半年以上も前の出来事。失恋に落ち込むコイツを一度慰めたら、何かある度に俺ンとこに来る様になって…相談に乗ってる内に、ピュアなコイツに惹かれてしまった。

なのに、コイツときたら未だに元カノの事を好きでいやがる。
チッ…俺の気持ちも知らないで…

『今日、アイツと偶然逢っちゃって…アイツ、知らないヤツと楽しそうに腕組んでて…俺の事、見向きもしなくて…』


…ヤメチマエヨ、ソンナオンナ…
俺にしとけ!俺なら、オマエにそんな顔させないのに…なんて言えないよな、今にも零れ落ちそうな涙溜めてるオマエには。


『センパイ、もう無理なんかな?ヨリ戻すなんて…オレ、アイツ以外考えられないのに…』

そう言って、俺の腕に顔を押し付けた。数秒後、腕のシャツ越しに、じわり…涙の気配。


あ〜ぁ、泣いちゃった。何だかんだ言っても、コイツを泣かせるのは元カノな訳で、俺には泣かせる事も笑わせる事も出来なくて…。

『………』

ただこうして泣き止むまで、無言で頭を撫でてやるだけしか出来なくて。


そろそろ、優しいセンパイの振りもキツくなってきたなぁ。


……………………

な、なんかこんな感じですが。すみません、読んで下さった方、ありがとうございましたm(__)m

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫