《MUMEI》

肩を揺さ振られて目が覚める、ぼんやりと視界はまだ不鮮明だ。

「メガネくーん、起きて。」

真横から聞こえる声で信じ難い現実に引き戻された。

「おふっ……ようございます。」

先輩に耳を噛まれての目覚めだった。
早起きのようで身仕度も終えて、母さんの朝食を手伝っている。
俺はというと昨日は先輩み見惚れて寝不足になり一分一分が勝負で、顔を洗い朝食を放り込み歯を磨き学ランを着込む。

「俺は今日も休みなんだ。」

先輩は仕事が休みの母さんと、のんびりテレビを観ていた。
家から出る直前に玄関先まで見送りに来てくれて、いってらっしゃいのキスを不意打ちされる。
朝から変なハイテンションで登校した。
噛まれた右耳はまだヒリヒリしている……先輩の噛み方は強め、とメモをしておく。

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