《MUMEI》

「ごめん、二人とも!」
かえでが深々と腰を下げた。素直に謝れずにすれ違っていたようだ。


「いいよ、二人が仲直りしたなら。」
かえでが幸せならいいよ。

「……ギゼンシャ」
七生がボソッと言った。




かえでは彼と遠距離になるみたいだけどきっと大丈夫だろう。
二人に別れを告げ、俺達は帰ることにする。




「偽善者って何。」
さっきの言葉の真意を確かめる。

「文字通りですけど。上手いこと仲直りさせてあげて?利用されて?

そんな人がいいから彼女出来ないんだよ。」


「かえでが幸せならいいじゃないか!」


「かえでがお前を頼って来たってことは気があったんだろう!あのまま付き合うことだって出来た。」


「そんな弱いところに付け入るような奴になって欲しいのかよ!」

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