《MUMEI》 「なあ、俺ってかえでのこと好きだったっけ? 確かに1番話してはいたけどさ……」 「結婚するって言ったよな」 七生が音を立てて紅茶をすする。 「俺が?」 まさか! 「違う、家族になりたいって言っていた。 それでかえでと俺達と結婚するって言ったんだよ。」 乙矢の引き出しはいくつあるんだろうか。 「あ……」 確かに家族にはなりたいと思っていたかも。離れたくなかったから。 勢い任せに結婚する発言で七生父が女の子しか結婚出来ないからとかえでを嫁と宣言して……。 成る程……。 “答えを出しに来た”なんて……。今のかえでの答えは聞くまでも無かった。 「また、フラれたんだな。」 自分で言っててなんだか面白くなって大声で笑ってやろうかと思い、声を出してみたら乾いた笑いが壁に吸収されただけだった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |