《MUMEI》

「なあ、俺ってかえでのこと好きだったっけ?
確かに1番話してはいたけどさ……」


「結婚するって言ったよな」
七生が音を立てて紅茶をすする。


「俺が?」
まさか!


「違う、家族になりたいって言っていた。
それでかえでと俺達と結婚するって言ったんだよ。」
乙矢の引き出しはいくつあるんだろうか。


「あ……」
確かに家族にはなりたいと思っていたかも。離れたくなかったから。

勢い任せに結婚する発言で七生父が女の子しか結婚出来ないからとかえでを嫁と宣言して……。

成る程……。



“答えを出しに来た”なんて……。今のかえでの答えは聞くまでも無かった。






「また、フラれたんだな。」
自分で言っててなんだか面白くなって大声で笑ってやろうかと思い、声を出してみたら乾いた笑いが壁に吸収されただけだった。

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