《MUMEI》 教室の空気にも慣れると、話題に置いていかれる立花と自分の世界に浸って空気の読めない戸谷が悪目立ちして眼鏡でオタクというポジションにつき始めた。 俺はそれを割り振りするクラスメイトの一番リーダー核の男に反感を持ってからはそちら側に馴染むようになっていた。 過去に人気者の二番手くらいに居座れるずる賢さを持ってはいたが、自己嫌悪してからは無理はしていない。 自分の価値観でしか物事を計れない奴は、子供臭くて嫌気がさす。 二人はいつも教室の隅で対面していて一体何を話しているのかと思いきや、戸谷が一方的なアニメへの熱意をぶつけて、それを理解できない立花が一生懸命に読み取ろうと合間合間に頷いているだけだった。 二人のすれ違いぶりに俺は肩の力がすっと抜けたのを覚えている。 そのうち、俺はその二人の間で週刊少年漫画を読むようになった。 俺は戸谷と立花のクラスに馴染ませるパイプライン役でもあり、傾倒した価値観のクラスメイトと離れられる良い居場所でもあった。 ぬるま湯に浸るかのような居心地の良さだ。 俺以外は全員変人の集まりだが。 たまーにやってくる木下も窓際眼鏡グループに属しているが、あいつの幼なじみ達はモテ男揃いで俺達には少しまだ成り切れていない。 前へ |次へ |
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