《MUMEI》
悲しい過去
お母さんは、自分の部屋に行くと言って歩き出した。

羅「お母さん、待って!!」

お母さんは、止まらずに部屋に向かった。

羅「お母さん…」

お母さんの部屋に着いた。

お母さんは、部屋に入った。

後から私も入った。

羅「お母さん、どうして悲しい目をしてるの?」

母「…悲しいからかな」

お母さんは、苦笑いをしながら言った。

悲しいから…?

羅「どうして悲しいの?」

母「…」

お母さんは、それから一言も喋らなかった。

それから、私はずっとお母さんの部屋にいた。

お母さんが…お母さんが話してくれるまで。

母「昔…」

お母さんは、小声で話し始めた。

母「昔…このお城に住んでいた時だった。私のお父さんは、厳しくって海から出ることすら許さなかったの」

お母さんの目に、涙が溜まっている。

母「私は、お父さんがいない時に海から出た。それが駄目だったの…海へ出た時、お父さんが帰ってきて私に気づいた。私が隠れようとした時…魔女が現れれた。私を殺そうとした。その時、お父さんが私をかばわなかったら…」

お母さんは、大量の涙を流した。

母「お父さんは…死ななくてよかったのに…」

お母さんは、崩れ倒れた。

羅「お母さん!!」

バン!!

由「花羅さん!!」

水「羅乃、何があったの?」

水音は、私の両肩に手を置きながら聞いてきた。

羅「お母さんは、悪くないのに…」

私は、水音の質問に答えなかった。

水「悪くないってどういうこと?羅乃」

私は、ダッシュで城から出た。

水「羅乃!?」

そして、海を出た。

後ろから、由羅がついてきた。

由「羅乃、なにがあったの…」

私は、うつむいた。

お母さんは…悪くない!!

私は、家へ急いだ。

バン!!

ドアを思いっきり開け、お母さんの部屋に行ってアルバムを取り出した。

由「どうしたの?」

由羅が、横から覗き込んだ。

由「うわー、それって花羅さんだよね?」

羅「…うん」

私は、ペラペラとアルバムを捲った。

あった…

お母さんとお母さんのお父さんが写ってる写真…

この人が、お母さんのお父さん?

大きな体をしていて、長い紫の髪。

頭には王冠を被っている。

この人、見たことある…

由「羅乃、この写真がどうかしたの?」

由羅が、覗きこんできた。

羅「お母さんのお父さんなんだけど、この人死んでるんだよ。でも、生きてると思う」

由「えぇ!?死んだ人が生きかえるわけないじゃん」

由羅は、髪をバサッと後ろにやった。

でも、確かに見たんだ。

海の中で…

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