《MUMEI》

気が付くとそこは知らない場所だった。
不安になる。
怖い。
「やっと起きたか」
横から声を掛けられる。
「…ユウ?」
「おう
…電話を変わってすぐに発作が来てたけど、大丈夫か?」
「別に…なんともない」
これは嘘だ。
私は発作の前後のことを思い出せない。
だから何があったか判らないだけだ。
「本当か?
…顔色が悪いけど」
「まだちょっと、嫌な感じが残ってるだけだから…」
「よくなるまで見てるから休め」
ユウが右手を握ってくれた。
なんでだろう…すごく安心する。
私は久しぶりに薬に頼らずに眠ることが出来た。

「ん…」
目を覚ますと、ユウがまだ手を握ってくれていた。
少しドキドキしてしまう。
さっきは落ち着いたのに、可笑しいな。
「起きたな
…そろそろ帰ろうかと思うけど、調子どうよ?」
「…大丈夫」
いつもよりぶっきらぼうになってしまった。
「一応ちゃんと医者に見てもらえよ」
気にして無いみたい…良かった。

私はその後、行きと同様に家に送ってもらった。
明日は病院か…。
でも、ユウとまた遊ぶ約束もしたし、少し頑張ってみよう。

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