《MUMEI》

行ってらっしゃいも言わないまま、あいつも俺に何も言えないまま、俺達は遠く離れてしまった。








子供の俺達が気軽に会える距離じゃない。






前嶋も練習が忙しい。








それから俺達は夏の頃みたいに毎日電話して、高校生になって…。







でもその電話も気がつけば一日置き、三日置きとなり…








夏休みの頃にはまるっきりやり取りがなくなった。











会えない寂しさや辛さにも慣れきって、ちょうど高校生活も楽しくなってきて…






夏休みが終わる頃には俺の中から前嶋はほとんど抜け落ちていた。









あんなにも好きで、大切にしたいと思っていたのに…。






きっと前嶋も同じ気持ちなんだろうと俺は勝手に思いこんだ。

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