《MUMEI》
本番
今日は本当に本番。

「続いては、命&夢人LOVEstoryです」

あたしたちの番。

パフォーマンスは…。

夢人だけがステージに立ってる。

「ごめん、おまたせ」

「おせーよ」

「何か、恋愛ドラマみたいでベタな感じだね」

「あぁ、おまたせってな」

2人で笑い合う、設定。

きっとこの笑顔の裏は何もないだろう。

最高級の満面の笑み。

ここで、ベタな恋愛ドラマは終わり。

ここからは、スピーチ。

「こうやって、笑い合うのが俺たちの理想です」

「でも、そんな時間はもうないのです」

真実を、言う。

「「俺と私は、病気なんです」」

えっ?

客席と審査員席から、驚きの声。

「余命を告げられたのは、2年半前」

「私たちは、同じ病室の“仲間”でした」

「「一緒に遠いところに行こう」」

「俺たちは誓いました」

「あと、3年の命だからって…」

「今ではもう、半年間の命しか、残ってないからって」

「ここで、もう一度誓います」

「「半年後、この命が消えるまで」」

しーん、とした客席。

涙ぐんでいる、審査員たち。

「「愛を、誓います。 

  雪のように儚く、素晴らしい命と

  未来の夢へと…愛をのせて…」」

2人で考えた言葉。

命(メイ)

夢人(ユメト)

2人の名前には意味があった。

使わなければいけない、理由があった…。

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