《MUMEI》

「うん……」






「受かってるといいな」







一見柔らかそうな髪だったのに、触ると整髪料でゴソゴソしていた。





「いいよ…、あんま興味ないし…、それにテレビで見たことある奴ばっか来ててさ…、
俺監督さんに一番質問受けなかったし。
……あーあ、何で俺行ったんだろ、演技なんかちっとも勉強してねーし…、恥ずかしかったー… 」





「はは…、そっか…」






――本当は受かってればいいなんて嘘だ。





これ以上遠くにいかれたら堪ったもんじゃない。










どんどん格好良くなって







どんどん綺麗になる
裕斗。






裕斗とやっと連絡が取れて、居ても経ってもいられず、直ぐに近くまで迎えに行く位…







俺の気持ちは焦りぬいている。







今この手の平の中に
裕斗がいて






温かさまで感じているのに……






酷く遠くに感じて…







―― ならない。








前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫