《MUMEI》

「恋人賞、もらえなかったね」

「あぁ…その代わり、」

「特別審査員賞、」

「加賀美タイク審査員長の選んだ、特別賞。」

「ペアルック、100着」

「キツイ、正直」

「え、着ようよ。

 折角だし、んふふ」

「やだし、だって…ゴホッ」

「大丈夫?」

「あぁ、だいじょ…ーっ」

「…っ、血…」

「これくらい、なんてこと…」

「病院」

「は?」

「病院行って」

「だから大丈夫…」

「行ってってば…」

―バタ

「夢人?

 ねぇ、夢人!?」

あぁ、やっぱり。

人を愛するのは罪ですか?

白いものが夢人の頬に落ちる、あたしの涙とともに。

初雪…。

「夢人ーっ!!」

すっかり青くなってしまった、夢人の唇に、1つ。

キスを落とす。

ファーストキス。

実はあの日、時間過ぎちゃって、キスできなかったの。

もうすっかり、恋人だよね。

あたしたち。

雪のように儚い命と夢を追い続けた2人。

恋は切なく、でも、ちゃんと“2人一緒に”遠くへ行きました。

                         ―END―

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