《MUMEI》
大人びた、真奈美
真奈美が髪を切ったんだ

長かった髪をバッサリ短く
色も明るい、キラキラとした、茶髪にした

似合う?

笑顔で俺に聞く、真奈美

俺、見とれてた

とても綺麗で、大人びてて

口説かれるわね、キャンパスで

叔母さんが、俺を見ながら言ったんだ

なんだよ翔、その、不安げな顔は

おじさんが、笑いながら言った

大学生かぁ、なんか、距離感じるなぁ

そんなことを呟いた俺、

お兄ちゃんも、お洒落しなよ

春奈が、言い出して

改造しましょ、髪色入れなきゃ学校も文句言わないでしょ

貴子叔母さん、そう、言い出したんだ

………
新年度が、始まった

目立ちたくないのに、この、ツンツンヘアーは、目立ってる

毎朝、真奈美がセットしてくれるんだ

バイクで行くから、ヘルメット被るのに

でも、店で学校の制服に着替えて、鏡の前で、髪を直してる自分が居る

クラス編成があって、顔ぶれが変わった

相変わらず、俺、浮いてる

大きな犯罪に巻き込まれた
高校生なのに、店を経営してる

そりゃぁ、浮くよね

こんな学校に、未練ないんだけど
真奈美も貴子叔母さんも、卒業しなさい、大学も行きなさいと、言うんだ

おじさんは、好きにしろ、と、言いながら
俺に晩酌を付き合わすし

でも、大人になりたい
真奈美と釣り合う男になりたい

そんな思いが強くあって

お洒落しよう、もっと、歳上の、世界を知ろうって、躍起になってたんだ

真奈美、教習所に通ってるんだ

仮免も、無事取ったみたいで、順調みたいだけど、
やたら、話し掛けてくる、男が居るんだってさ

わざと、俺に話すんだ、真奈美

お茶誘われた、とか
アドレス聞かれた、とか

なのに、この事は、話してくれなかったんだな

真奈美

あっ、翔、迎えに来てくれたの?

うん、

ごめん、お茶パスね、またね

真奈美を、スクーターの後ろに乗せた

心配だったの?

なんで、タケシが居るんだよ

そっち?

なにが?

タケシの隣に居たのが、私を誘ってる男だよ、
大学同じなんだって

あっそう

他にも女子居たでしょ、二人きりになったりはしないわ

ふ〜ん

こら、嫉妬してくれるなら、真っ直ぐ嫉妬して!

話してくれなかったじゃんかぁ

眼中ないもん、あんなやつら
私がしっかりしてれば、問題ないでしょ?

そうだけどぅ

じゃぁ、話すよ、間宮も来てるよ

マジ?!

話したりはしてないよ、向こうも無視してるしね
あいつ、浪人だから、コソコソしてるわ

俺の背中に抱きつくようにして、真奈美が話してたんだ

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫