《MUMEI》












「…はあ」



疲れた。腹減った。
とても家まで持たなくて俺は今日もコンビニへと寄った。





お茶におにぎり、サンドイッチ。
運転しながら食べられるものを選んで会計する。




コンビニを出ながら小銭を財布にしまう。
とにかく毎日が残業で、体も眼も疲れた。


チャリン…





チャリン…









「…はあ」



またため息が出る。


俺は重い体を屈め落としてしまった硬貨を拾う。

手元が狂ったというより焦点がずれた。思った通りの事が出来なかった。




下だけを見ながら最後の一枚を拾おうとした時…





「あ」




誰かの足元が視界に入って、そして先にそれは拾われた。







「あ、ありがとうございます」


手を差し出しながら俺は立ち上がり、そしてその人物の顔を見た。
















「……」









「……」













「……」










「まえ……しま……」








俺が前嶋と呼んだ男は、俺の顔を見た瞬間……







はっと息を飲んだ。










コンビニの扉の前で俺達は4年数カ月ぶりに再会した。










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