《MUMEI》









「高原だってわかんなかった、だってめちゃめちゃでっかくなってんだもん」


「…うん、高校時代20センチ伸びたから」



あの頃ほとんど変わらなかった俺達の体型は、4年の歳月ですっかりそれを変えていた。



前嶋は容姿があの頃とあまり変わっていなかったが、俺はすっかり大人の男になってしまった。



顔が細くなって、骨格も広くなって。同窓会の時みんなに分からなかったとびっくりされた。



前嶋は聞いた事のない社名の入った作業衣を着ている。
髪型は当時とほとんど変わっていない黒髪のショート。



今日一日の疲れを背負うように髪は艶がなく顔は疲れ、眼には輝きがない。




俺はすっかり着慣れた地味なスーツ、ネクタイもくそ真面目にびっと締めていて。
俺もきっと前嶋みたいに光りのない顔をしているんだろう。





立ち話もなんだからと俺と前嶋は俺の車の中で話だした。



俺は最近同窓会で本間に会ったこと、またダチの付き合いを始めたこと、会社のことを話した。




前嶋は、実は怪我をして高校を辞めた事。
そして今は働いている事を言った。


引きこもっていた話はしなかった。

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