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《MUMEI》 中学時代の話はお互いにしなくて。 出来なくて。 たった今の現状を中心にぽつぽつと話す。 高校時代の話とか、怪我の内容とか、俺は怖くて聞けなかった。 前嶋も言わないでいる。 前嶋は終始握りこぶしのまま俯いていて、それでも声のトーンは楽しげに懐かしげにしていた。 お互いに買っていたおにぎりはとうに食べ終え、コーヒーも飲みきった。 「本間と三人でさ、今度居酒屋行こう」 「うん」 本間と何気なく交換したみたいに俺達はアドレスを交換した。 今はお互いに携帯を持っていて。 あの頃お互いに持っていたらまたちょっと違っていたのかもしれない。 前嶋は車から降りて、そして俺も降りた。 前へ |次へ |
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