《MUMEI》














少し大人になった俺達は、携帯でメールをしたり、電波に好きな長さの声を乗せた。










逢いたくなれば逢って、かなり遠い所にも簡単に車で遊びに行って、少しずつ思い出を重ね始めた。









――そして今





今前嶋が肌身離さなくなったものは安い小さなキーホルダーから、プラチナのお揃いのリングに変わって。







一緒に住むアパートの、チェストの上に飾る、二人で写る写真立ての脇には













誇らしげに鎮座する、小さな小さなネズミ色のキーホルダー。








そのキーホルダーは毎日俺達を










静かに見守ってくれている。











End

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