《MUMEI》

思ったより休日を満喫していて羨ましい。
言い出しっぺの昼八も飽きてきたのかツイートを始めている。
二人の世界で街を闊歩し、楽しくお茶してイチャイチャしているだけのデートだ。
そのうち、高そうな一角のショップの中に入って行く。

「彼女まだ出て来ない?」

「じゃあ、もう帰りたいなう。溜まったアニメ消化しないといけないし。」

ずっと同じ光景の繰り返しだろう、つまらない。


「は?だってまだ彼女出てきてないじゃん!」

「めでたいやつだな……面白かったけどいい加減、イラついてきた。」

休日に昼八と何が楽しくて二人で立花のイチャイチャを眺めなきゃならないんだよ……。


「怒るなよ、お前っていっつも変なところでキレるんだよな!」

「って言ってるお前が一番キレてるよな。」




「昼八……と、戸谷?」

俺だけすぐ気付けなかったのか疑問形だ。


「バレたじゃねーか!」

「昼八が五月蝿いだけじゃないの?静かに黙ってりゃバレなかったのに。」

人のせいにして、愚痴っぽいと腹立つな。

「二人とも落ち着いて、先輩に言われて見てみたら喧嘩してるんだもん……。」

「喧嘩じゃない!」

すかさず入る昼八に同意して頷く。

「メガネ君の、知り合い?」

先輩が立花の肩に自然に手を置いている。
威圧的に俺達をサングラス越しに脅しているようだ、まさかやくざの若頭……?


「先輩、友達の昼八と戸谷です。こちらが中学の部活の先輩で、神林先輩。」

照れながら先輩を紹介する立花の嬉しそうなこと。

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