《MUMEI》 減らず口とはうらはらに、男の体はもはや止めようも無いほど勢いを増しながら、死のアギトへと・・・・。 その時、オリハルコンの大剣がカッと 黄金の輝きを放った。 大剣にまきついた赤黒い舌が瞬時にちぎれながら、高熱の中で蒸発していく。 「ぎょええーーっ!」 絶叫しながらのけぞる怪物に向かって、 男が大剣を振り上げながら跳んだ。 「うオオーーー!!」 大剣が怪物の右肩から左脇下へ走り抜けたと見るや、刃を反転させ再び怪物の肉体へ食い込み右腰へ抜けていく。 稲妻のようにジグザグの軌跡を描いて降りおろされた大剣が、怪物の体を三分割した。 恐るべき再生能力を持つ『覚醒者』に対して、長年の戦闘経験から編み出された必殺の一撃。 「しかし女を斬るのは後味が悪い・・ ・・」 苦い顔で見下ろす男の目の前で、砂上の肉塊が急速に腐敗していく。 すさまじい煙と共に漂ってくる異臭に、二三歩後退りした男の目の前で、 丸太のような胴体がモゾリと蠢くと、 その表面に彫刻のように人間の顔が浮かび上がってきた。 「?!」 その顔の両側からまるまっちい二本の短い腕が皮膚を破って現れたと見るや、 異常に目付きの悪い胎児が胴体から這い出してくる。 前へ |次へ |
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