《MUMEI》
ついてきた。
「ん、大丈夫そうだし、俺帰るな。」
軽く微笑んでからあの子に背を向けて家へと歩きだした。
「…………」
厄介…としか言いようがない…。
なにせあの子が一定の距離を保ってついてきているのだから。
後ろを振り替えると慌てて近くの木の後ろに隠れる、んで俺が歩くとまたついてくるのエンドレスだった。
「ぁー…、君、なんでついてくるの?」
興味本意でたずねてみた。
…返答はない。
後ろを振り返ってみる。
居ない。
親の所にでも戻って行ったのか、なんだか妙に寂しく思えた。
仕方ない帰ろうと思い前を向くと
「おわっ!?あっぶね…。」
居た。
あの子が一歩前の所に居た。
俺はその子と視線を合わせるためにしゃがみ問いかけた
「ねぇ、君なんで俺についてくるの?」
「おにーさん、王子様みたい。」
…はい?
「え、王子様?」
「うん、王子様。俺の王子様。」
仏頂面が少しだけ緩んでにこにこと可愛らしい笑顔を見せてくれた。
「えと、でも帰らなきゃお母さん父さんに怒られるよ?」
そう言うと途端に頬を膨らまして拗ねてしまった。
「おにーさんについてくんです。」
「俺が悪い人だったらどーする?」
「悪い人なわけないです。ばんそーこーくれたんですから…」
「う…でも、ほらあれじゃん?名前知らないし…」
「まこと…俺の名前はまことです。」
「ぁー…本当についてくんの…?」
その子…もとい、真くんはこくんと頷く
そのときの真君の顔に俺はとうとう折れた

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