《MUMEI》

そんな不安とは裏腹に、今日の通学路でユキに出くわす事はなかった。


珍しい事もあるもんだ。


どうしたんだろ?



な〜んて、いっちょ前に心配なんかしてるけど、正直内心ホッとした。

あんな事があった昨日の今日だ。
どんな顔で会えばいいかわかんねぇしよ…


図に乗ってイチャつかれても困る。
ユキはともかく、俺はノンケ。変な疑いが浮上するのは御免だ。


「絶対、誰にも知られる訳にはいかねぇ…!」


そう自分にカツを入れて教室のドアに手を掛けた時だった。



「何?知られたらマズい事あるの?」


…っ!!!?



全く気配なくソイツは俺の背後に立っていた。


心臓が飛び出すんじゃないかという程驚いて、勢い良く振り返った俺の視界には


「朝倉…。」

「おはよっ!」



ニコニコ笑って俺を見る、朝倉舞子がいた。

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