《MUMEI》
修学旅行
 三泊四日の沖縄での修学旅行!!
 私はこの日を楽しみにしていた。
 (この四日間で、二人の思い出作るんだから!)

 二日目の夜。
「七瀬、ちょっといいか?」
夜のミーティングの後に、海斗に呼ばれた。
「何?どうしたの?」
「明日さ、二人で国際通りまわらね?」
「え!?いいの!?」
「あぁ」
「うん!一緒に行きたい!」
「じゃあ決まりだな。」
「じゃ、また明日!おやすみ。」
「おやすみ。」
(やったぁ!海斗と一緒に行ける!超嬉しい!)
 その日、七瀬はドキドキして、なかなか眠れなかった。

 次の日。
「七瀬ちゃーん!」
「わ!どうしたの姫香ちゃん?」
この子は森月姫香(モリヅキヒメカ)ちゃん。私の親友である人だ。
「一体どうしたのよ?」
「あのね、水城にね、一緒に国際通り行こって言われたの〜」
「え?水城に?よかったじゃん。」
水城…水城涼太(ミズキリョウタ)は姫香の彼氏。なかなかのイケメンで、そこそこモテる。
「でも、二人だけってのが気まずいんだもん〜!」
「えーんなこと言っても…」
「だから一生のお願い!七瀬ちゃんも来て!」
「えー!!??でも私、海斗と約束してるんだけど…」
「そこをなんとか!」
「うーん…じゃあ、とりあえず海斗に聞いてみるね。」
「ありがとう!助かる!」

「…て言う訳なんだけど…」
私は海斗に、姫香ちゃんとの話をした。
「うん。別にいいよ。」
「本当!?ありがとう!」
「ありがとな、二人とも。」
「いいよいいよ。さ、行こ!」

 そして、しばらく歩くこと、三十分。
「お腹すいたね。」
「どっか食べに行くか。」
「賛成〜!」
「んで、どこに行くんだ?」
四人で周りをキョロキョロしながら歩いていると、
「あ、あそこいいんじゃない?」
「え?どこ?」
姫香が指していたのは、一軒の沖縄料理亭。
「あ、いいんじゃね?」
「決まりだね!」
「早く入ろ〜」
店内には何人かの生徒がちらほらいた。
(な、なんか、超見られてる気がする…)

「よし、じゃあ何食う?」
「ん〜と、あたしはタコライス!」
「あ、俺も。」
「七瀬はどうする?」
「う〜ん、じゃあ沖縄そばで。海斗は?」
「俺も同じ。」
「じゃあ注文しようか。すいませーん!」
私が呼ぶと、奥から定員さんが出てきた。
「ご注文をどうぞ。」
「えっと、タコライス二つと、沖縄そば二つで。」
「はい、ご注文を繰り返します。タコライスを二つ、沖縄そばを二つ。以上でよろしいでしょうか?」
「あ、はい。」
「では、しばらくお待ちください。」

 四人でいろいろ話しているうちに、料理が運ばれてきた。
「タコライス二つと、沖縄そば二つです。ごゆっくりどうぞ。」
「わぁ〜おいしそ〜!」
「そうだね。じゃいただきます。」
「あ、金、俺が払うから。」
「え、海斗、コレ全部払うの!?」
「あぁ。」
「そ、そんな悪いよ!」
「そうだよ!七瀬ちゃんならともかく、関係ないあたしらの分まで払わなくても…」
「いいよ別に。」
「でも…」
「じゃあ、俺が姫香と自分の分出すから、お前はお前と松田の分払ってやれよ。」
「まぁ…それならあたしはいいけど…」
「私もそれなら…」
「んじゃ、それでいいだろ。」
 二人で千円以上するのに…本当に良かったのかな?

 買い物も終え、集時間の五分前になった。
「そろそろ行くか。」
「そうだね。」
「楽しかった〜」
「だな。」

 集合場所へ向かう大きな横断歩道で、
「海斗。」
「ん?」
「ありがと。楽しかったよ。」
「こちらこそ、ありがとな。」
「今度はさ…二人だけでどっか行こうね。」
「あぁ、二人だけで、な。」
 こっそりと手を繋いで、私達は集合場所へ向かった。

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