《MUMEI》 先にデニムのスカートを頭から被ることにした。 先輩の前で肌を出すとか恥ずかしくて無理だ、昔はアトピーで左の内太股に痕が残っているのを見られたら絶対引かれる。 「男同士なのに隠すの?いいけど、続けて」 やはり不審がられた、とりあえず下は後回しで上から着替える。それから背中を向けて上を脱ぎ、ブラジャーを着ける……、がこれどうやって後ろ留めるんだ? 「ほら、やっぱり俺が必要だ」 間合いを縮めて先輩が背中に指を這わせる。 「ひっ……」 ブラジャーを身につける抵抗とで背骨がむずむずしてのけ反っていた。 「じっとしてて」 コルセットを締められる感覚で、息苦しい。 胸の間にお手玉を詰められ、白いトップスを頭から被された。手を通して小さい胸が二つ現れると複雑な心境だ。 「……先輩、下は自分で履けますから!」 下着を脱がされてしまいそうになり、巧妙に回ってくる手を振り払う。 「そう?あ、レギンスも履いてね」 飄々と俺の体に触れて、着替えに混じってくるので油断ならない。 油断……ってのも変な話だ。可愛い女の子じゃないのだから先輩にそういった感情を抱かれる筈もなく、きっと子供を着付ける親みたいな感覚だろう。 「出来ました……」 女の子のパンツってなんて浅いんだ。 レギンスを履いていてもスースーする。 「いいね、まだあるんだけどお願い……」 両手を繋がれ、この瞳にロックオンされたらもう逃げられない。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |