《MUMEI》
離さないでくれ
.













寒い










風邪引いて熱出たときみたいな



ひどく寒い、真冬の朝みたいな






そんな感じ







寒くて。もう、《何でそうなったのか》なんて…どうでもいいや。





隆之が抱き締めてくれてなかったら俺…











「佑二」



淡蒼の瞳が俺を覗き込む。






「寒い………」



「…布団でもかぶるか?」


俺は頷いた。

隆之が俺の肩を抱いたまま、ベッドへ座らせる。



パソコンは
とっくに立ち上がってる。









言った通り、隆之は俺の肩に布団を掛けた。



「寒いか?」

「凍え…死ぬかも……」


本気でそう思った。

俺はとにかく

何かに縋りたくて、向かい合う隆之の二の腕を掴んだ。







「大丈夫」



また抱き締められて、ガキをあやすみたいに頭を撫でられる。



「俺が守ってやるから…」



一瞬

躰が離れて、



唇が重なった。









あれ………俺……………







何しに、来たんだっけ………






寒い…






この寒さ、しのげるなら









どうでも…いいや








「ごめん………には………て」


隆之がなんか呟いてたけど








聞き取れなかった。







.

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