《MUMEI》
上の空
「………リリィ、どうしたんだ?」
「………え?」
「上の空で………一体、どうしたんだ」

ルティが正面から言う。
「………リリィ」
「………何でもない………」
「何でもなくない。一体、何があった」
「………何でもない………」

「何でもなくないだろ!?」

………!

「………え………」
「おかしい………何があったんだ」
「………」
「リリィ!」

―っ!?

肩を掴まれ、背を壁に叩かれた。

ルティを見上げる。

壁とルティの間は………怖い。

「………ルティッ………」
「駄目だ………目を逸らすんじゃない」
「………っ………」
「言わないなら、犯す」
………どうして………

「言えよ………いつもそうやって目ぇ逸らして」
「………だめ………言えない………」
「………何故………」


ルティが怖い………

怖いはずないのに………


「………バカ」
ゆっくりと壁から背を離され、抱きしめられた。


「………ばかぁ………」
背伸びをして、広い、ルティの背中に手を回した――。

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