《MUMEI》
誓い
次の日学校に行くとこんな噂がたっていた。



『仁衣菜って頼めば誰にでもヤらせてくれんだって』



私は戸惑った。



何でこんな噂がたってるの!?



別に私、誰にでもヤらせるってわけじゃないのに……



昨日は告白されて付き合ったからしただけだし……




その日の放課後また仁衣菜は呼び出された。



けど呼び出したのは男子じゃなくて女子生徒数人だ。



「加島さん、ちょっと来てくれる?」



仁衣菜がうんと言う前に女子生徒に仁衣菜は連れて行かれた。



こっ、これはもしや!



その悪い予想は見事に的中した。



「お前なぁ!調子乗ってんじゃねぇよっ!」



少しの沈黙が流れて、一番最初に口を開いたのは女子グループのリーダーみたいな人だった。



「ちょっと顔が可愛くて胸がデカいからって調子乗んなよなぁ!」



リーダーが叫ぶと後ろにいる女子たちも



「そーだそーだ」

「ウザいんだよっ!」

「調子乗んなってのっ」



と口々に言い始めた。



仁衣菜は今にも消えそうな声で「ゎ、私はそんなんじゃ……」と言うと



「嘘つくなよっ!」と怒鳴られて、殴られた。




痛い。



怖い。



―――……憎い。



この時仁衣菜は



「私はウザがられてるんじゃなくてブサイクな女子たちにやきもちをやかれているんだ」と思った。



だってウザいならほっとけばいいのに。



無視すればいいのにこんなところにまで連れてきて……。




じゃあ、もっと女子たちにやきもちをやかせてあげよう。



私は友達なんていなくても男子がいたらいいと思えるようになろう。



この時、仁衣菜は心にそう誓った。

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